師走に入り、吉祥寺の街もクリスマスのイルミネーションが輝きはじめました。公園の木々も冬支度を始めた12月中旬の日曜日、杉田邸をお訪ねしました。吉祥寺の駅からほど近い、井の頭恩賜公園に隣接する閑静な住宅街。その一画に、ゆっくりとした時間を感じる落ち着いた佇まいで杉田邸は並んでいます。大きな窓からの日差しが心地よいリビングで、宥三さん・美智子さんご夫妻にお話を伺いました。
杉田さんが中古住宅を購入してここに移り住んだのは昭和43年。以来昭和60年代の初め頃、建て替えを行ってかれこれ24年経ち、あちらこちら修繕が必要になっていました。
宥三さん「ちょっと照れくさいのですが、この度の結婚を機に工務店に相談しようと考えたのです。」
結婚生活という新しい暮らしに向けて、家の修繕を考えた杉田さん。ところが前回お世話になった工務店は、先代も息子さんもすでにお亡くなりになっていました。困って相談した知人の勧めにより、丸二に相談をします。杉田さんは、当初リフォームを考えていたのですが、リフォームの中身についていろいろ相談しているうちに、いっそのこと新築した方がいいと思うようになりました。
宥三さん「まずひび割れがあったので外壁を直して、それから中のお風呂場などの水回り、そして床の張替えと考えていくと結構費用がかさむんですね。それにたとえリフォームでうわべが綺麗になったとしても、土台や配管などは古いまま。もう歳ですが(笑)いまなら何とかなるだろう、と思い切って新築することにしました。」
美智子さん「はじめに、丸二の社長様と営業の方、設計の方にお会いしました。社長様のお話をお伺いし、親身に相談に応じて下さるお気持ちがとても良く伝わってきましたので、安心いたしました。」
宥三さん「二人だけの住まいなので、まず使いやすい家にしたいという考えがありました。そして車いすが必要になった時のことを考えて、バリアフリーで、風通しが良く、陽当たりの良い家を希望したのです。」
杉田さんのイメージを元に「使いやすくオープンで明るい家」の設計が出来上がりました。そして引き渡しまでの間、毎週木曜日の午後1時半から約2時間、細かな打合せが行われました。今も現役でお仕事をされているご主人が、途中仕事を抜けて打合せに参加され、杉田さんご夫妻のご希望を具体的なカタチにするまで、打合せは毎週続きました。ときには3時半になっても終らず3、4時間打合せすることもあったそうです。
美智子さん「主人がはじめにざっとこういう家にしたいというお話をして、それを元に設計士さんが作られた図面を見ながら説明を伺いました。とはいえ私達は素人なので、「はい」「それで結構です」とお返事してしまったのです。ところが実際工事が始まり、家が形を成してくると、図面では分かりにくかった部分が見えてきました。現場監督さんや営業の方にその都度要望を伝え、可能な限り、希望に添うようなカタチにいろいろ工夫していただけました。いつもきちんと対応して下さって、ご苦労もたくさんあったと思うのですが、担当の方にはとても感謝しています。」
たとえばリビングの隣の和室は、壁の障子を引き戸にすると見栄えの悪いところが出てきます。部屋を明るくするためにはどうしてもそこに障子を付けたかったので相談したところ、障子を上下させるタイプを提案され、それを採用。出来上がりはスッキリとまとまって、とても満足のご様子です。
美智子さん「それから当初、お手洗いが狭かったので、図面よりやや広くしていただきました。また、浴室が北側で湿気を心配したのですが、24時間換気にしていただいたので、ほとんど湿気がなく大助かりです。ただ、浴室が建築途中で洗面所にはみ出すことが判明し、バスタオル掛けなど、洗面所の壁面利用が出来なくなってしまったことは残念です。その分、少しでもゆったりした浴槽に入れるのでいいかなぁと思います。」
杉田さんと担当者の打合せから出てきたもののひとつに、健康塗り壁材「ダイアトーマス」がありました。ダイアトーマスはカルシウムとミネラルをたくさん含んだ海草類の化石が主成分のため、安全で健康によい塗り壁材として注目されているものです。カラーも豊富で75色の中から選べます。
美智子さん「私はアレルギーがありますのでなるべく健康によい材料をお願いしたところ、一番良く使うリビングの天井と壁、そして長い時間を過ごすキッチンの壁材にダイアトーマスをご提案いただきました。」
ダイアトーマスはニオイやホルムアルデヒドを吸着して分解し、室内の空気を改善するだけでなく、乾燥すると湿気を出し、湿度が上がると吸収するという調湿効果が高く、室内を湿気やカビから守ると言われています。
宥三さん「しかも効果は半永久的なのだそうですね。壁が汚れたら水拭きで取れますし、多少壁が傷ついても、私達でカンタンに補修ができるのだそうです。よいものを紹介していただきました。」
ダイアトーマスは、健康がなによりも気になるご夫妻のこれからの生活に欠かせないものとなりそうです。キッチンの壁は杉田さんご夫妻と現場監督、営業担当の4人みんなで左官屋さんと一緒に塗ったとのこと。手も荒れない安全な材料だからこそできたのではないかと杉田さんは語っています。
美智子さん「壁塗りは左官屋さんに是非にと、勧められて体験させていただきました。失敗しても塗り直しができるから大丈夫ですよ、という左官屋さんの言葉に安心して、みんなの個性が発揮されて楽しい体験になりました。今思えばその時、記念のサインをしておかなかったことがちょっぴり残念です(笑)」
ご夫妻は工事期間中、東小金井にある丸二ゲストハウスに滞在していました。建替えや、リフォームの際に丸二が提供をしている家賃は無料の仮住まいです。緑豊かな小金井公園のすぐそばのゲストハウスは、快適な上に、新居の参考になるアイデアがたくさん詰まっていました。
宥三さん「ゲストハウスのリビングに造り付けの収納カウンターがあって、使っているうちにこれはいいと思いました。」
美智子さん「二人とも大変気に入ったカウンターなので、まったく同じものを作って欲しいとお願いしました。外観も素敵で、たくさん収納できて非常に使いやすいです。」
ほかに押し入れの下の段と上の段の間にある引出しもゲストハウスを参考にしたものです。押し入れの奥の部分まである長い引出しで、ちょっとした小物などを入れるのに非常に便利。これもカウンターと同じように取り入れました。また杉田邸では、より健康的に過ごすため構造材に加子母ひのきを使っています。杉田邸に使用された加子母ひのきは、東濃ひのきの主産地として知られる岐阜県中津川市加子母で伐採された50輪齢以上の間伐材。伊勢神宮の遷宮御用材にも使われた有名なひのきの森を守り育てるため、こまめな間伐によって生まれた材料を有効利用しているものです。
ひのきの香りには、気持ちをリフレッシュさせる森林浴の効果があり、さらに消臭、脱臭効果、また防カビ効果、防ダニ効果、抗菌効果もあると言われています。健康志向の杉田さんご夫妻にはまさにぴったりの材料でした。実際に加子母ひのきが使われたのは目で見ることができない柱などの構造材ですが、杉田さんご夫妻はひのきの香りに包まれた豊かな生活を満喫されています。
宥三さん「ちょうど木が搬送されてきて積み上げられているときから、ひのきのいい匂いがしていました。建築中にもお向かいのお宅から、ひのきのいい香りがしますね、と言われました。」
美智子さん「丸二さんで国産ひのきの間伐材を民家に使うのは私達が最初なんだそうです。新築間もない頃、宅配の方が、いい香りがしますねぇ“ひのき”ですか、と言われて、なんだか嬉しくなっちゃいました(笑)」
杉田さんご夫妻は、日々の生活の中で「なんともいえない温かさ、柔らかさ、豊かさ」を感じるそうです。おそらくこれが、加子母ひのきを使った最大の効果なのかも知れません。
リビングで杉田さんご夫妻のお話をうかがっている間、日差しはお部屋の奥まで差し込んでとても温か。天気のいい朝、陽だまりの中での食事はとても心地よいのだそうです。
宥三さん「暖かくなったらすこし庭の手入れをしようと思っています。」
と目を細めた先には、お二人の幸せな生活を見守るお庭の緑が、やがて訪れる春を待ちわびていました。