都会での暮らしにとって梅雨は鬱陶しい季節です。でも、雨にあらわれた新緑の香りは胸に染み込み、濡れた紫陽花は優しく目に映ります。ちょっとだけ心にゆとりを持って、雨を楽しんでみてはいかがでしょうか・・・
梅雨の季節が近づいた5月下旬の日曜日、小金井にある井上・西村様邸をお訪ねしました。今回はリフォームされたお宅への訪問です。
ここ小金井で38年間化粧品店を営まれている井上さんご夫妻。お二人でアパート生活からスタートされ、この場所に中古住宅を購入されたのが、30年程前。そして、17年前に現在の家を注文住宅で建替え、今回リフォームされました。ここで育った娘さんの西村さんも、今ではお二人のお子さんのお母さんになり、現在は一緒にお住まいです。
リフォームセミナーに参加したご経験もある奥様はこうおっしゃいます。「諸外国では10年サイクルで手を入れながら、50年、100年と家を次世代へ受け継いでいくと聞きました。この家はお金がない時にがんばって建てたもの、大切にしてきました。たくさんの想い出を残したまま、娘や孫達に受け継いで欲しかった。」と。この家で育ち、ご両親の姿を見ながら過ごしてきた娘さんにもお母様の気持ちがしっかりと伝わっています。「父と母が二人でゼロから築いた家です。その思い入れは見ていてわかります。この家を私自身も長く大事にしていきたい、そして、子供達にもその思いが伝わればと思います。」
井上・西村邸のリフォームは、家を大切に育てていく心から始まっていたようです。
築17年の家は地元の工務店で建てたしっかりとした造りです。大切にしてきた分傷みも少なく、早めのリフォームで家を守り続けることを考えます。まずは家を建てた工務店に相談しますが、総合的なプランがなく納得がいきません。「風呂場、トイレと部分的なリフォームの提案は良かったのですが、全体を見るとアンバランスでお任せできなかった。」とご主人。ご家族でプランを話し合い、休日には住宅展示場やショールームを見学、リフォームの本を購入して情報を集め、数社にプランの提案と見積りを依頼します。
そんな時期、飛び込みで来たのが丸二の営業担当者でした。見積りを依頼すると、細部まで配慮された総合的なプランが提示されました。“これなら素敵”と気に入ったのは娘さん。細かい希望も的確に受け止め、プランに活かしてくれました。そんな丸二の対応に、「一緒にがんばれば素敵な家に生まれ変わると、私達にリフォームの夢を与えてくれました。」と奥様も納得された様子です。俄かリフォーム会社が増える昨今、当初は懸念されていたご主人も、丸二との話し合いを重ねるうちに誠実さを実感します。ご家族で施工物件も見学して納得、丸二への依頼を決めます。
一昨年秋から開始したリフォームの計画は、昨年5月から具体化し進行していきます。事前の調査も現場監督を交えて慎重に行われました。
当初は、昨年7月に工事着工予定でした。しかし、ご主人が体調をくずされたため、回復を待って、今年3月工事着工となりました。
全体の間取り変更はないものの、階段と2階廊下以外は、外装も含め全てリニューアルした今回のリフォーム。工事期間中の住居を丸二のゲストハウスで過ごす提案もありましたが、お子さん達の通学の問題があり断念。入居されたままのリフォーム工事となりました。「住みながらの全面リフォームは様々な面で度胸が入ります。お互いに協力して成功させたい、がんばりましょう。」と言ったのは現場監督です。
家財道具は最低限必要な物だけをダンボールに収め、あとは近所に住む息子さん宅に預けます。家族5人で一緒に寝起き、ダンボール箱を移動させながらの生活となりました。「庭で歯磨きをしたり、皆で一緒に寝たりとキャンプみたいで、子供達は楽しんだようです。」と娘さん。「どうしてもホコリが出るので、毎日帰るとまず掃除です。そして、荷物の移動と、体力が要りました。」と奥様。「仮住まいを借りるとなると出費もかさみます。住みながらだと、現場の方とも毎日顔を会わせるので意思の疎通もスムーズにいきました。気になる点はその日に連絡、翌日には直っているという状況でした。」とご主人。毎朝、職人とお茶を飲みながら、1日の工事進行予定を聞き、帰宅後は必ずチェック、気になる点を監督に連絡するのはご主人の役目だったそうです。変わっていく様子はもちろん、普通では見られない天井裏から床下まで再確認でき、改めてこの家に対する安心感が生まれたのも、住みながらのリフォームだからこそ実現したとおっしゃいます。
毎日、徒歩20分ほどの化粧品店へ通われる井上さんご夫妻。娘さんは仕事に、息子さんは学校へ、お嬢さんは保育園へと、日中の家は現場監督と職人だけになります。「監督と営業担当者の方の人柄でしょうか、絶対に間違いはないと、留守中も鍵を預けて家族同然にお任せしました。」と、工事期間中の防犯面でも安心していたとおっしゃる娘さん。「職人の方にも恵まれました。大工さんにはよく注文を出しました。熟練した腕のよい方で、こちらの言おうとする事を良く理解してくれ助かりました。お陰で満足でき、やり直しもありませんでした。」とご主人のお言葉です。そして、奥様はおっしゃいます。「これだけの大規模なリフォームがよく2ヶ月でできたと皆さん驚かれます。現場の方はよくがんばってくれました。」と。何かと不便を強いられる工事期間中の生活。精神的にも肉体的にも長引くほど負担は大きくなります。「2ヶ月だから我慢ができました。これ以上時間を要したら色々な面で摩擦が起こっていたかも・・・丁寧で手早い丸二の仕事は合格点です。」とお言葉をいただきました。
静かな住宅街での今回の工事。騒音や工事車輛の出入りなど、ご近所への迷惑も気になります。日頃からの密なお付き合いのお陰で、ご近所の方は「気になさらないで」と言葉をかけてくれ、今はすっかりリニューアルした家に「素敵になってよかったですね。」と喜んでくれます。トラブルもなく、2ヶ月の工事は順調に進み、4月末日には内部のリフォームは完成、5月のゴールデンウィークから新しく生まれ変わった家での生活がスタートしました。
井上・西村邸のリフォームは、大事にしてきた家を、長く生かしていくことがコンセプトになっています。
まず、奥様がこだわったのは結露をなくすことでした。冬は窓に結露が溜まり、毎朝拭き掃除をしてから仕事に出かけるのが日課になっていた以前の家。全ての窓をペアガラスにリフォームすることにより、室内の温度が一定に保たれ、結露の防止が実現しました。リビングは床暖房を入れ、壁と天井には無垢の木を使用、いつもきれいな空気を保ちます。トイレと和室には、吸湿性の高い壁材を用いました。お風呂には乾燥機能を設置、雨の日の洗濯物もすぐに乾き、梅雨時の湿気対策にもなります。ベランダも防水加工を施し、メンテナンス性が高まりました。湿気のない家は、カビ・ダニの発生を抑え、家自体の腐敗も防ぎます。
また、快適な家は住む人のライフスタイルの変化にも対応していかなければなりません。1階の床はもちろんバリアフリーです。家族5人が集まるリビングキッチンはオープンにして、家事をしながら皆と話せるにぎやかな場所になりました。そして、外構もガラリと変身しています。お子さん達の成長に伴い自転車置き場も設け、壁にはメンテナンス性の高い人造石を張りました。今まで木で鬱蒼としていたお隣との境は、ウッドフェンスを設置。光や風が通るガーデニングスペースになり、リビングから季節の花が楽しめます。屋根もリフォームして、100年住宅の準備が整いました。
「新築の家に引っ越したと思うくらいきれいになりました。慣れ親しんだ安心感を残し、違和感なくリフォームでき満足です。」とご主人の感想です。家族全員が快適に暮らせるように、そして家自体の健康も保てるように、内装から外装まで新しく生まれ変わった井上・西村邸です。
丸二も、これからはアフターサポートで、この家の成長を見守っていきます。
リフォームを成功させる秘訣を伺いました。「計画当初、数社にプランニングをお願いしましたが、早急に進めたがる会社が多かったですね。」と娘さん。「事前に情報を集め、お互いの意見を聞いて、あわてずに進行すれば満足のいくリフォームができるはずです。」とご主人もおっしゃいます。そして、奥様からは「家が健康なうちに手を入れてあげることが大切。傷みがひどくなると完全なリフォームができない場合もあります。それと、予算の面でも余裕を持たせておいた方がよいと感じました。周りがきれいになっていくと予定外の所まで直したくなるものです。」と実感のこもったアドバイスをいただきました。
最後に、「丸二さんにとっても初めてだった住みながらの全面リフォーム、成功したのだから、自信を持ってこれからも皆さんに薦めてください。」とご主人から温かいエールをいただきました。