interview お客様インタビュー

家は家族をひとつにする

RC個人住宅
山口氏邸/服部氏邸
  • 工法 混構造木造
  • 混構造(木造+RC造)2階建 / 木造 2階建
  • 東京都武蔵野市
  • 敷地面積:254.89㎡/156.41㎡
  • 延床面積:191.82㎡/147.43㎡

ご縁がきっかけ

 三鷹駅から徒歩7分。閑静な住宅街の一角に、三世帯が共に暮らすお宅があります。2012年に完成した山口英美さん邸です。
 ご夫妻だけで暮らす日本家屋を建て替え、息子さんご一家・娘さんご一家と共に暮らすことを選んだ山口さん。なぜ建替えという選択をされたのか、世帯構造もライフスタイルも異なる多世帯が共に暮らすためにどんな工夫をされたのか、実際の暮らし心地はどうか。山口さんと娘さんご一家にお聞きしました。

父親がくれた丸二とのご縁

 「最初はリフォームをしようと思って、親父が仕事で関係のあった丸二に相談したんです。そこで初めて会長さんと会ってお話をしてみたら、親身になって相談に乗ってくれて。それで、じゃあお任せしよう! ということでお願いすることになりました」。
 山口さんが丸二に決めた理由は、お客さまに寄り添おうとする丸二の姿勢にあったとのこと。ご縁を大切にしている丸二にとって嬉しいお話です。

多世帯共生 - リフォームから建替えへ

建替えで家を暮らしに合わせる

 「建て替えるかどうかは悩みましたね。元の家は建ててから60年以上経っていたけど、材料はいいものを使ってましたから。
 だけど親父の代に7人家族が親子で住むために建てた家は、夫婦二人のいまの暮らし方に合わなくてね。それに家内や子どもたちに聞くと、『寒いのはイヤ』と言うでしょ」。

子どもたちに家を残したい

 「それに相続のことを考えると、息子と娘にそれぞれ家を残したかったのでね」。
 当初はリフォームを考えていた山口さんが最終的に選んだのは、敷地内に二棟を新築するというプランでした。その一つには山口さんご夫妻と息子さんご一家の二世帯が、もう一棟には娘さんご一家が住まう、多世帯が共に暮らす住まいの形です。

家族が再びつながる家

みんなが集まれるようになって 良かった

 「家族みんなが集まれるようになって良かった」。
 これまで離れて暮らしていたご家族がそろって暮らせるようになったことを嬉しそうに話す山口さん。お孫さんと一緒に暮らせるようになったことに話が及ぶと、目尻がぐんぐん下がっていきます。
 「一緒に暮らすようになって(山口さんが)元気になった」とは、山口さんの長女・服部裕子さんの言葉。

食卓が家族を結びつける

 「引っ越したての頃は、毎日リビングで一緒に食事をしていました。この夏はウッドデッキでBBQもしましたよ。最近は外で食事をすることも増えましたが、二人では行けないところに子どもの車で行けるようになったのも大きな変化ですね」。
 “同じ釜の飯を食う”という言葉があるように、食事は人と人を結びつける大切な行為。集って食事を共にする場の存在が、家族の求心力となっているようです。

一つの屋根に二世帯が暮らす

二世帯をつなぐ広い玄関

 一つの家屋に二世帯が暮らす山口さんのお宅。しかし、山口さんの口から出てきたのは、「二世帯住宅ではありません」という意外な言葉。その秘密は、玄関にあります。
 「居住空間は1Fと2Fで別れているのですが、玄関だけは共用なんです。玄関は毎日みなが必ず通る所ですから、何となく人の存在感が感じられます。顔を合わす機会も増えますし、入り口が同じというだけでも気持ちの距離はずっと縮まりますね。」
 共用の玄関は、プライベートな空間を保ちながらも二つの世帯をつなぐ大切な場になっています。

階段の先に広がる別世界

 玄関を入り、すぐ左手にある階段を上がると、そこは別世界。バリを意識したリゾートテイストの空間が広がります。ここは息子さんご一家が暮らすフロア。息子さんの要望で、バリ風の空間が実現しました。
 実は山口さんと息子さんが住まう棟は、1階がRC(鉄筋コンクリート)造で2階が木造の“混構造”。木造の2階部分だからこそ生まれる木の梁が、バリで購入されたという調度品と相まってリゾート気分を高めています。

家族の歴史を見守ってきたもの

 「このカイヅカイブキは、昭和26年に前の家を建てたときは苗木くらいだったのが大きくなったものでね。建替えのときにもこの木をシンボルツリーとして残してデザインをしてほしいとお願いしたんです」。
 娘さん一家の暮らす家屋に寄り添って青々とした葉を茂らせる大木は、家族が共に重ねてきた時間の象徴でもあるのです。 

 「この植え込みの石も元の家のものですね。庭にあった池に使っていた石を生かしています。娘の旦那さんに残してほしいと言われたので」。こんなところにも家族の歴史を見守ってきた存在がしっかりと生きています。

近所のランドマーク「和錆」

 山口さんご夫妻と息子さんご一家の暮らす棟のすぐ隣に建つのは、娘さん一家が暮らす石とレンガの外壁が印象的な建物。山口さんの要望もあり、同じ敷地内に娘さんご一家の住居も別棟として建てられています。しかし、印象的な建物の造りとは裏腹に、真っ先に目を奪われるのは、来客を迎える某海賊映画の主人公やアメコミヒーローの人形たちです。

アートサロン和錆(わさび)

 「ここは映画とアニメーションのギャラリーです。名古屋で『アートサロン和錆』というギャラリーとカフェを運営しているのですが、その東京店ということで住居の1階を展示スペースにしたんです。通りすがりの方が外の人形を撮っていかれたり、スパイダーマンのいる家と覚えていただいたりしていますね」。和錆の取締役である長女の服部裕子さんはそう話します。

リビングがギャラリーに

 「最初はギャラリーにするつもりはなかったんです。食器棚が展示ケースになっていたり、掘りごたつ用のスペースが足下展示になっていたり。外から内側が見えづらいのも元々リビングにする予定だった名残です。将来はここでカフェもやりたくて、そうしたらみんなのリビングになりますね」。 このアートサロン和錆、個人ギャラリーと侮るなかれ。和錆のためにと描かれた一点モノのディズニー作品があったり、伝説のハリウッドスターたちのオートグラフがあったりと、館内にはファン垂涎の逸品がずらり。吉祥寺の隠れた名所になりつつあります。

真っ先に目を奪われるスパイダーマン

入り口ではスターウォーズのキャラ達がお出迎え

マリリンモンロー関連の商品

地本にゆかりのある「水森亜土展」を開催

初回限定のレアポスター

以外とお手軽に購入できる原画
(約3000円~)

家づくりが家族の距離を近づける

多世帯での家づくり

 新築二棟、しかも一棟は二世帯が一つ屋根の下で暮らす山口さんのお宅。多世帯で住まうという山口さんの決断を受け、丸二の担当者が、三世帯それぞれの希望をお聞きしながら新しい家の形を相談していきました。
 趣向も暮らし方もまったく異なる三世帯が共に暮らすだけに、打合せは自然と増えていきます。しかし、それは家族をつないでいく大切な作業でもありました。屋根の瓦選びに困った山口さんが、娘さんご一家の棟のお話を聞いて、「じゃあうちもそれにしよう!」と、ご自身の棟にも取り入れてしまったなんて微笑ましいエピソードもありました。

家族の想いを 形にしたスケッチ

 住居兼ギャラリーという異質の建築を実現した「アートサロン和錆」。その設計を担当したのは、1級建築士の北畑栄さん。ご一家からあがる要望をスケッチに落とし込み、完成までの道を拓きました。
 「北畑先生とは、プライベートでもお付合いが続いています。ご自宅も近いので、自転車でよくいらっしゃいますよ」と裕子さん。裕子さんの長女・沙希さんも「住み心地がよくて、できれば家から出たくないです(笑)」と太鼓判です。

混構造という合理性

寒いのはとにかくイヤ

 山口さんが建替えを決意した大きな要因の一つが、奥さんたちからの「寒いのはとにかくイヤ」という声でした。その要望を叶えるべく選ばれたのが、1階がRC(鉄筋コンクリート)造で2階が木造の“混構造”です。
 RC造だからこその気密性で、寒さから家族をしっかりと守ります。奥さんも「今までの家はすきま風がびゅーびゅー吹いて大変でした。建替えて暖かくなったのが嬉しいですね」。

地震や災害にも強い家

 もう一つ、山口さんのご家族が強く望んだのは、地震に強い家であること。東日本大震災の後ということもあり、耐震性の高い家が求められました。
 そんな要望にも混構造は力を発揮します。RC造は地震・火事・津波・台風などの災害にも強い工法で、木造に比べ放射能を遮断する能力も高いとされています。

親しき仲にRCあり

 「家を建てるときにお願いしたのが、寒くないこと、地震に強いこと、娘の住居を隣に建てること、そして“2階の音が下に響かないこと”でした」と山口さん。異なるライフスタイルの世帯が一緒に住まうからこそ、家族とはいえプライバシーへの配慮は必要です。
 この要望にもRC造が効果的でした。遮音効果があるため、上の階の生活音も気になりません。「先日、息子が友だち20人くらいを集めてパーティーをしたらしいんですが、下にいたら全然音がしませんでした。後から言われて気づいたくらいです(笑)」。

多世帯でつくる・多世帯で住まう

家が人を結びつける

 暮らし方が増える分だけニーズも多く複雑になり、調整にかかる時間や手間も増える多世帯住宅。それは同時にコミュニケーションを密にとることも意味します。
 手間がかかる分だけ、コミュニケーションも生まれる。面倒くさい分だけ、親しみもわく。しかもそこに家族以外の専門家が入ることで、家族同士のコミュニケーションも円滑になり、関わるすべての人を家が結びつけていく。そんな魅力が多世帯住宅とその家づくりにはあるようです。