人がどんなに寒いと感じても、自然はすぐそこまで春をはこんで来ています。梅の花もほころび初めました。葉を落としている木々にも新芽が生まれています。路行く足を止めて、花の香りと陽だまりを楽しみたくなる季節がやってきました。 そんな2月初旬の日曜日、青梅街道沿いに建つ、石塚邸(石塚タイヤ商会)をお訪ねしました。欅並木が続く広い通りに面した石塚邸。北側の店舗部分は、グレーのサイディングにアルミの窓枠がシャープな印象を与えています。側道を入るとウッドデッキが温もりのある表情を創りだしている住居部分が見えてきます。店舗と住宅の異なった趣きを醸し出している石塚邸は、1階店舗と2階3階の住居が昨年12月完成、そして現在、隣接地に工場・倉庫棟を建設中です。
石塚さんのお父様が、この地でタイヤ販売メンテナンス業を営む『石塚タイヤ商会』を開業されたのは40年程前です。その当時からお住まいだった以前の家は店舗兼自宅。青梅街道に面した商売には好条件の立地、お店の顔がしっかりすればそれだけで宣伝にもなります。商売のことを考慮しても建替えが必要と考えはじめたのは5年前、この時から石塚邸の家創りが開始します。
建築に関しては素人の石塚さん御夫婦。まずは友人の一級建築士を訪ね、そこで今回の設計を担当した設計士の方と出会います。早速、図面をひいてもらいますが、石塚さん自らのコンセプトが固まっていないことに気付き一時中断。それからは、住宅展示場はもとより、OMソーラーなど設備機器関係の展示場、友人の家や建売住宅の見学、雑誌やテレビからの情報収集など、御夫婦で1年間勉強を重ねていきます。
その結果、外断熱へのこだわりが生まれ、天然素材への関心が強まり、石塚邸のコンセプトは形となり、家創りが再開しました。
奥様が特にこだわったのが外断熱工法。
『内部結露が起こり易く、カビの発生から建物の腐食が起こり得る内断熱工法に比べ、快適室温の安定する外断熱工法は結露を防止する上、躯体自体も守られ良質な住宅を創る』というテレビ番組の情報がきっかけでした。外断熱工法に関する本も何冊か購入、さらに勉強を重ね、建築コストが上がっても外断熱工法は譲れないと決心が固まります。
「1年を通じての快適室温にエアコンの稼動も下がる省エネルギー効果、そして断熱材のカバーで健康な躯体を維持できるのでメンテナンス面でも安心な外断熱工法は、長い目で見ればランニングコスト削減になります。」と石塚さん。設計士の方もいろいろと調査、勉強してくださいました。
何種類かある外断熱工法の中から、耐久性に優れ、熱効率も高いEV外断熱工法を取り入れることに決定し、建設会社選びが始まります。
EV外断熱工法を認可されている建設会社は限られ、丸二を含めた3社が候補に挙がります。その内の2社は準大手でしたが、外断熱工法に対する姿勢や予算面もほど遠く納得がいきません。
「丸二さんは最初から良心的でした。渡辺社長自ら推進してくださり、予算面でも希望に近づけることができました。」と石塚さん。また、設計・施工監理をお願いした設計士さんからも様々なアドバイスをいただき、慎重に施工会社の選定を進めていきました。
石塚さん御夫婦はEV外断熱工法採用の丸二施工現場を実際に見学します。そして、安心と信頼が高まり、丸二との付き合いが始まったのは、一昨年12月のことでした。
石塚邸は昨年5月に工事着工。現在工事中の工場棟の場所に仮住まいをしながらの工事進行となりました。「最初から現場監督の誠実な人柄にひかれ、工事に関しては安心してお任せしていました。」と石塚さん。知識がなく分からないことは、その都度現場監督に尋ねると、いつでもきちんと納得のできる答えが返ってきたとのこと。音や埃に神経質になっていたお隣の方にも最後まで気を使い、対応していた様子です。石塚さんからは「最初から最後まで良くやってくれました。」と現場監督への言葉をいただきました。設計士の方も毎日のように顔を出してくれたそうです。
工事着工から約6ヶ月、予定通りの昨年11月末日、石塚邸は竣工となりました。
石塚さん御夫婦、お父様、1歳、3歳、5歳と育ち盛りのお嬢さん達6人家族の石塚さん御一家。昨年の12月8日、新居に移られました。1階が店舗・事務所、2階がリビングダイニング・お父様の部屋・水廻り、そしてウッドデッキスペース、3階が御夫婦寝室、子供部屋、納戸の間取りになっています。お話を伺ったのは2階のリビング。階段は吹き抜けで、開放感あふれるスペースです。この日は外気温約9度、でも石塚邸はエアコンを使っていませんでした。「冬でも昼間はお日様の暖かさがあればエアコンは要りません。子供達も素足で走り回っています。」と奥様。入居当初はコンクリートに蓄熱し暖めるためにエアコンが必要でしたが、コンクリート自体が一度暖められれば、外気とは断熱され、室内は一定の快適温度が保たれるのがEV外断熱工法の効果です。「結露も全くと言っていいほどありません。お風呂やトイレとの温度差がなく、家中が温度のバリアフリーになっていて快適です。」とその効果を実感している奥様。「真冬の朝でも布団からサッと起きだせるのが嬉しいです。」とは石塚さんの感想です。
冬の寒さに対するEV外断熱効果には充分満足されている石塚さん御一家。「次は夏の暑さに対する効果に期待しています。」と石塚さんはおっしゃいます。
「天然素材へのこだわりで健康な住環境を実現」
石塚さん御夫婦のもう一つのこだわりは天然素材。『床材には木の温もりが足に伝わる天然無垢材を使いたい』というのが御夫婦の一致した考えでした。でも無垢材はコストが高くなりがちです。丸二に相談したところ、ラオス松の無垢材が提案され、ショールームで確認します。コスト面では納得しても、色ムラが気になっていた石塚さん。大工さんが丁寧に色合わせをして張ってくれたので、かえって味わい深い趣きに仕上がりました。木の感触にお子さん達も大満足。素足で走り回り、気がつくとフローリングにそのまま寝ていることもあるとか・・・
手入れもワックスは塗らずに、使うほどに味わいが増すオイル拭きにしています。一見無垢に見える建具は、しなの木をカツラ剥きのようにして表面に張りつけて仕上げた合板です。そして、白く塗られた美しい仕上がりの壁と天井は、モルタルに塗装をしただけと聞き驚きました。
「EV外断熱工法に予算がかかったので、ほかの部分ではできるだけコストを削減してもらいました。丸二さんにも無理を言いましたが良く対応してくれました。」と石塚さん。EV外断熱工法で快適な室内温度を確保、天然素材へのこだわりで余分な化学物質に対する心配を排除し、健康な住環境を実現、そしてその効果を実感されています。
「住んでみて良かった点が多くて、不満な点は思いつきません。」と奥様がおっしゃるように、緻密に計算された設計と優しい配慮で、暮らし易く生まれ変わった石塚邸です。
リビングの東側に設けた窓からは、青梅街道の欅並木が目に映ります。「朝は陽が昇るのがここから見えます。欅の四季の変化に安らぎを感じることを設計士に伝え、この場所に窓を設けてもらいました。」と石塚さん。南に面した大きな木製枠のサッシと、ウッドデッキスペースからは、広い空と太陽が望めます。床はもちろんバリアフリー。将来もしもの時はトイレも浴室へも車椅子で入れる設計です。3階に上がると大きな箱のような子供部屋スペースがあります。お子さん達が成長した時に、3部屋に仕切ることを見据えた設計になっています。「今はここでお友達と踊りまくり、歌いまくり、走り回りと、毎日ノビノビ遊んでいます。」と奥様。
「前の家は陽当りも悪く、外の景色を楽しむことなどありませんでした。ここ3階に上がると吉祥寺の街並も見えて驚きでした。」と石塚さん。今は家の中に居ながら、1日の時間の流れや四季の変化を感じられます。設計当初はその斬新なデザインや仕様にやや苦言を呈されることもあったお父様も、形になるに従い納得され、今では満足されているご様子。「住んでからは一言も父の文句を聞いたことがありません。」と奥様も嬉しそうです。
新しく生まれ変わった石塚邸は、100年住宅の実現をめざし、家族の歴史を刻んでいきます。
日曜日の午後、快く取材に応じてくださった石塚さん御夫婦。その心温まるお話やお人柄からも、地に足がついた堅実な暮らしぶりが伺えます。
新しくなった店舗の「石塚タイヤ商会」についても少しお話を伺いました「以前はお得意様中心の商売でしたが、新しい店舗の顔ができたおかげで一般のお客様も増えつつあります。今まで通り、迅速な対応、出張サービスはもちろんのこと、お客様の立場に立った専門的なアドバイスと高い技術で、タイヤのプロフェッショナルとして信頼していただける商売をしていきたいと考えています。やはり、お客様が納得し、満足していただけるのが一番嬉しいですね。」と石塚さん。現在建設中の工場・倉庫棟の完成が楽しみです。