お客様ひとりひとりとのご縁を大切にし、「感動」「感激」「感謝」の仕事を目指す丸二渡辺建設。住む方が喜ぶ家創りを常に考え、ルネス工法・エコロジー住宅をはじめ、近年ではコーポラティブ事業の推進をしています。すでに「きなりの家」「COMS HOUSE」が竣工、現在も2つの計画が進行中です。
ここに、やはり人のつながりを住まいの基本とした住宅供給に取り組んでいる団体があります。「COMS HOUSE」を企画プロデュースした「NPO(特定非営利活動法人)都市住宅とまちづくり研究会」です。通称「としまち研」は、住まいの最良の環境は人のつながりであることを基本に、住まいとまちづくりに関する事業推進のサポートをしながら、地域社会の活性化に寄与することを目的とした活動を行っています。
「としまち研」の理事長を務めるのは杉山さん。法学部出身の杉山さんは、再開発等に関する建設の企画・コンサルタントをする会社の経営者でもあります。独立当時神田に会社を構え、仲間10人ほどで勉強会を開きます。仕事のこと、神田のこと、何でも話合う勉強会です。その当時の神田は、バブルの影響で夜間人口が減少し、住みにくい町へと変わりつつありました。歴史のある町、神田に人を呼び戻そうと、地域住民や地元不動産業者等々勉強会の参加者が増えていきます。過疎化の進行する都心に取得しやすい住宅を作る方法を議論、調査しながら、勉強会は1997年2月「『みらい』都心居住促進研究会」設立へと発展します。
その後も公開勉強会、講演会と神田地域の活性化を目指した活動が続きます。千代田区の外郭団体である(財)千代田区街づくり推進公社からもその活動が認められ、1998年・1999年には助成金の交付を受けることもできました。1999年11月に「車椅子障害者のための住宅研究会」設立。過疎化や高齢化の進行する都市においても安全で快適な個性ある都市住宅の供給と、暮らしやすい地域コミュニティの構築と再生を目指し、その活動は広がっていきます。
地道な活動への賛同者も増え、より大きな責任をもって取り組む方法はないか模索します。そして2000年8月「都市住宅とまちづくり研究会」を設立、同年11月には東京都よりNPOの認証を受けました。
現在「としまち研」は正会員52名、賛助会員10名、計62名で活動しています。都市計画コンサルタント、建築士、行政書士、税理士、司法書士など専門分野で活躍される方に加え、学生や主婦の方など多くの人が参加しています。
活躍の場は
(1)小規模な再開発を「神田型共同建替え方式」により行う。
(2)コーポラティブ方式によるコミュニティ形成型の住宅供給を行う。
(3)車椅子障害者のための住宅供給を行う。
(4)会報、出版物の発行、その他の社会貢献を行う。
この4つの事業に及びます。
活動を開始して2年7ヶ月がたち、丸二渡辺建設が施工会社となった「コーポラティブ神田東松下町(COMS HOUSE)」も完成し、大きな実績となりました。現在も5つのコーポラティブ事業と1つの共同建替事業が進行中です。その他にも、共同建替えの相談・企画提案、老朽化マンションの建替えについての研究、公開勉強会の開催、地域イベントへの協力・参加など様々な取り組みを行ない、人にやさしい住まいとまちづくりに関する事業促進の窓口としてサポートを続けています。
「としまち研」はNPO(特定非営利活動法人)です。なぜNPOでなければならないのか、その意義を事務局長である関さんは「利益を追求する企業体では叶えられない、自己実現の場でしょうか。」と表現されました。
関さんは大学から大学院まで建築、都市計画の研究をされていた関係から、学生時代から千代田区のまちづくりサポートに参加し、活動を続けてきました。「COMS HOUSE」建設では、コーポラティブ事業には豊富な専門知識とプロジェクトを推進するエネルギーが必要であるということを、身をもって体験されました。地権者のニーズを尊重し、入居者を募り、地域の理解も得なければなりません。「としまち研」のコーポラティブ事業は、そこに関与する人全てが事業に参加し、全員が納得する完成を目指します。地域コミュニティ、組合運営、予算、法律関係など様々な問題を一つ一つ解決し事業を進めます。営利事業を行う企業がこれだけ煩雑な事業に客観性を持って取り組むのは難しいことです。
バブルの後遺症で都市周辺では土地の放置が目立ちます。地域のコミュニティも希薄になり、町としての形が失われつつあります。町を取り戻すには、そこにある利害を調整し、関係方面と折衝し、周辺住民の理解を得ながら町を再生していかなければなりません。高い理念と豊富な知識をもった多くのスタッフと公益性の高い組織のエネルギーがなければ、理想の追求は成し得ないのでしょう。
「としまち研」の事務所は、自身初のコーポラティブ事業となった「COMS HOUSE」の2階にあります。「COMS HOUSE」は神田に縁のある方の入居となり、地域コミュニティ再生の第一歩となりました。
この計画は地権者の方が「土地を有効に利用できる建替方法はないものか」と考えたことに端を発します。当初はマンションへの建替えについてデベロッパーと話合いますが条件が合意せず、白紙に戻ります。その時、地権者の方が参加した杉山理事長主催の勉強会で、コーポラティブ方式での建替えを知ります。そこで、近隣に声をかけ4人の地権者が賛同し、2000年10月「コーポラティブハウス神田東松下町プロジェクト(後のCOMS HOUSE)」がスタートしました。この企画は地権者のニーズを第一に、この土地に愛着をもって住んでくれる入居者を募ることを趣旨としました。「としまち研」は建設組合設立から竣工まで細かなサポートを実践してきました。近隣とのコミュニケーションを図るバーべキューパーティの開催、各入居者の希望と現実のすり合わせ、そして建設会社となった丸二渡辺建設との打合せ等、そこには良いものを創りあげる喜びと苦労があったようです。2002年5月竣工、今でも入居者の方とのお付き合いが続きます。
「今ではコーポラティブ方式も普及してきました。しかし、まだまだコーディネイター主導が強い傾向の中、私たちのコーポラティブ事業はあくまでも参加者主導型です。自由設計である部屋の間取りから仕様、それに付随する予算まで、できる限り参加者の皆さんの希望がかなうようにサポートさせていただきます。さらには、入居後も住み良い地域環境が保てるよう、その地域に関しての調査や周辺住民の方とのコミュニケーションも事前に行います。今後も多方面にわたりネットワークを築き、情報交換をして、問題を抱えた地域の再開発のお手伝いをしていけたら良いと考えています。」と関さんはおっしゃいます。
入居者にとって利点ばかりクローズアップされているコーポラティブハウスですが、問題点はないのでしょうか。「予算に関して言えば、基本プランの提案をしますが、自由設計の為グレードを上げればそれにつれて金額も増えます。透明性の高い見積りを提示することで最終的には理解していただけますが、理想と現実をすり合わせるのは大変です。また、組合への参加、設計打合せなど、時間と労力も必要です。楽をしたい方には向かないかも・・・」と関さんが実感された感想です。
取材に伺ったのは土曜日。事務所ではスタッフの皆さんが電話の応対や出版物の整理に追われていました。忙しさの中にもアットホームな雰囲気が伝わってきました。杉山理事長は、現在募集中であるコーポラティブハウスの説明を聞きにみえた方々の応対をされていました。図面を基に丁寧に説明されているご様子。お客様が納得されるには時間も必要です。1組終わるとすぐに次の入居希望者の方が来訪されました。そんな忙しい合間を縫って、杉山理事長に一言だけ伺いました。「コーポラティブ事業のパートナーとして、丸二渡辺建設をどの様にお感じになっていますか・・・」と。
「変わった会社です。普通の会社なら、お客様とは通り一遍のお付き合いをして、建物を完成させ、引き渡して終わりです。それが、コーポラティブという労力がかかる割には儲からない事業でも、一生懸命家を創るという姿勢で取り組んでいます。私どもにとっては大変ありがたく、信頼が置ける家創りのパートナーです。」
そして、「すごくまじめで一生懸命の会社です。どんな場合でも誠意ある対応をしてもらっています。」ともお言葉をいただきました。
◆「都市住宅とまちづくり研究会」WEBサイト http://www.tmk-web.com/