2009.06.26
大進化
トヨタの新社長が「海図なき航海」と表現したように、まさにどこへ向かって行ったらいいのかが見えにくい経済状況になってきました。何かが大きく変革する瞬間というものを、今生きている世代の多くは経験したことがないので、国も大企業も、まさに右往左往という状態なんだと思います。その点、中小企業は、良いも悪いも、(常に)自分たちの得意なもの、強いもの、あるいは夢・志に一点集中する以外に道は無いので、ある意味、落ち着いて(かつダイナミックに)行動できるような気がします。
加えて、もしその方向性が、これからの大変革後の新時代にマッチしていたとしたら、思いがけないほどの大成長を遂げられると思います。だから、今こそ、大きな夢と志を持って、奇策に走らず、すでに新しい時代に入っているという意識を持って、王道を行く。新しい時代に相応しい考え方や行動や立ち振る舞いをしていく。これでいいのではないでしょうか。私たちの周りにも、もうすでに新時代を生きている人たちがたくさんいます。そういう方々と一緒に新しいビジネスを考えていくと、自然に現状突破ができるような気がします。
さて最近は、TVや新聞を通じて、「崩壊とはこのようにして起こる」という、まさに教科書のような出来事が続いています。でも、できるだけ今までの時代を否定しないように心掛けています。なぜならば、そのような時代があったおかげで、今の自分自身や今の社会が在るのだし、そのおかげで、素晴らしい新時代が始まろうとしているから。だから、やっぱり、「感謝」と「ありがとうございます」だなと。
時代の流れを人間の力で変えることは不可能です。であるならば、できるだけ皆が新しい時代や社会にスムーズに移行できるように、人々を導く役割が必要です。かつては、それこそが政治家の仕事だったと思うのですが、今の状況を見ると、(いい意味で)ちょっと変わってきたようです。つまり、主体が自分自身に移ってきたと。
つまり、個人のレベルが上がってきた故の、ひとつの終着点が来たということです。もう大きな力や組織に頼らず、私たちはしっかり生きていくことができる・・・そういう真の力が(気が付かないうちに)身に付いてきたのかもしれません。そのことに気づくことが今、必要なのかもしれません。これは、素晴らしいことです。だから今、世界は・・・、人類は・・・、進化しているのかもしれません。
2009.06.22
脳死
18日、臓器移植法改正4法案のうち、脳死を人の死と認め、15歳未満の子どもからの臓器提供を可能にする案(A案)が可決しました。これによって、脳死臓器移植の拡大が期待できるので、ドナーを待っている方々にとっては朗報ではないかと思います。ただ・・・私個人としては、「脳死は人の死」と定義までしてしまうことに、少なからず抵抗感が残ります。
仮に脳が停止しても、心臓が動き、体の機能が活動しているのであれば、それは「生」ではないかと。生まれる時に、天から与えていただいた(貸していただいた)肉体が、まだ生命として生き続けようとしているのであれば、それは「生」のひとつの立派な形ではないかと。その認識の上に立って、本人や家族の判断(思想・哲学・死生観)によって、臓器移植の可能性をさらに拡大することは、確かに理解できることです。
今回のような法案は、現在の景気対策や国づくりの問題とは、随分遠いところに位置する問題なので、解散総選挙への直接的な影響は無いと思いますが、ただ、今回の投票で反対票を投じた方々の名前だけは、とりあえず頭に入れておこうと思いました。つまり、この人たちは・・・(多分)私と同じように、「脳死は人の死」だと本当に言い切っていいのかなぁ・・・と、素直に思い悩んだような気がするからです。臓器提供の機会を増やすことには賛成でも、「脳死は人の死」とまで決めていいのかと。だからD案の方がいいのかなぁ・・・とか。
「(天から)与えられた肉体」という観点が出てくると、臓器移植に関する捉え方も、今後大きく変わっていくと思います。それは、人の生き方・人生観につながり、最終的には国や世界を幸福にする思想・哲学にもつながっていくと思います。だから、今回の法案は、そのための第一歩になって欲しいと思います。現状の景気対策や、社会保障、防衛対策をどのようにするかという「表」の重大案件と共に、ゆっくりと、じっくりと、認識を深めていって欲しいと思います。私たちも、一緒に考えていきたい大きな問題だと思いますので。
2009.06.18
やってみる
選挙のシーズンが近づいてきました。ここ武蔵野市においては、これから東京都議会議員選挙、衆議院議員選挙、市長選挙と3つの選挙が行われます。ところで、よく政治家の方々が、「○○だから選挙が戦えない」という言葉を発します。「首相が○○だから勝てない」「代表が○○だから負ける」と、自分自身が選挙に勝てるかどうかだけを考えている。
本音は良く分かるけれども、何となく見ていて格好悪い。思っても言わない方がいいこともある。首相が誰であろうと、代表が誰であろうと、「私」はこういう考え方で、こういう政治を行いますという強い信念さえ発して行けば、きっと周りが応援してくれる。仮に負けても次がある。そういう正常な世の中に、だんだんとなっていくような気がする。
さて、空からおたまじゃくし(!)が降る時代です。もう今までの固定観念を捨てて、新しい時代に備えていかないと、あっという間に取り残される。足利事件で冤罪となった菅家さんに対して、栃木県警本部の石川正一郎本部長が心を込めて直接謝罪をしましたが、今まででは決してあり得なかったこと。こういう、ほんの一歩の前進ですが、みんなで評価し合っていくことが大事かと思います。
そうすると、新しい時代を切り拓こうとする「志」を胸に秘めた多くの人々が、これからどんどん表に出てくるはずです。だから、ほんの小さなことでもいいから、勇気を持って何かに挑戦した人を評価する風土を養っていきたいものです。仮に失敗しても・・・、うまく行かなくても・・・。
ですので「やってみる」という姿勢が大事です。「今までうまく行かなかったやり方でも、もしかしたら通用するかもしれない」とか「今まで絶対に無理だと思っていたけど、やってみたら思いがけない成果が出た」というような声が、あちらこちらから聞こえてくる。そういう時代になったと感じます。結果を恐れずに自分を信じて、良心に従って最善を生きる。その時の口癖は「何とかなる!」「やってみる!」です。
2009.06.17
その日のまえに
昨年、直木賞作家・重松清氏のベストセラー小説「その日のまえに」を大林宣彦監督が映画化しましたが、そのDVDを観ながら、いろいろなことを考えます。「その日」とは、つまり「人生最後の日」であり、すべての人にいつか必ずやってくる日です。「その日」をどのように迎えるかという意味合いにおいて、「余命わずか」と宣告された人ほど、その日までの人生を最も真剣に生き抜く者はいないのでしょう。本当は、すべての人がそれぞれの「その日」に向かって真剣に生き抜かなければならないのに・・・。
もちろん、これは小説であり、映画ではありますが、現実に多くの人々の経験の総和でもあります。人生をより良く生きてこそ、真剣に生き抜いてこそ、本当の幸福が得られるとするならば、私たちも、この映画の主人公「とし子」と同様に、いつも笑顔で、最善を生きていかなければならないのではと反省するのみです。
実はこの映画、確かに重松清氏の同名小説が原作で、いくつかの連作短編をうまく組み合わせながら、ストーリーも忠実を保っているのですが、実際は(原作の中でほんの少しだけ登場する)宮澤賢治の「永訣の朝」という詩の世界観の方こそが、真の主題になっているように感じます。故に、原作のイメージとの違和感は強く、評価が大きく分かれるのも無理はありません。ただ、私としては、これほどまでに宮澤賢治の宇宙観と現代社会における日常とが見事に(かつ摩訶不思議に)ブレンドされた作品を見たことが無く、あまりにも深い感動を覚えてしまうのです。
現在の世の中は、急速に変化を遂げながらも、新しい目標として「家族愛」あるいは「人類愛」へと再設定したように感じます。そういう背景に中で宮澤賢治の世界観は、日本における未来像のひとつの雛形になるのかもしれません。そういう時代性の中で、このような一風変わった(決してマスコミには取り上げられない)作品がひっそりと生まれたことに、何か面白さを感じます。
このDVDには大林宣彦監督のインタビューが入っていて、なかなか見ごたえがありましたが、その中で面白い話がありました。米国で「9.11同時多発テロ」が起きた後、映画監督のジョージ・ルーカスが「私は、スターウォーズを作るべきではなかった。スターピースを作るべきだった・・・」という心情を告白し、その後、自宅の庭の小さな虫や植物の映像を撮り始めた・・・というお話。つまり、イメージは現実化するということです。
「スターウォーズ(宇宙戦争)」のイメージが世界中の人々の意識に刷り込まれれば、現実社会でもテロや戦争として現実化する。逆に「スターピース(宇宙平和)」のイメージが世界中の人々の意識に刷り込まれれば、現実社会でも愛・平和として現実化する。こういうことだと思います。いよいよ、時代の逆転現象が始まりそうです。
建築の世界も、「そもそも住まいとは何なのか」とい問いから再スタートしなければならない時期に来ています。住まいとは、住む人の「健康」「安全」「幸福」を護る社(やしろ)であると、私は思っています。住まいによって、人の人生も変化していくと思います。そういう「人生との関わり合い」としての住まいを考えていくことで、これからの建築の未来像は築けるのではないでしょうか。世の中が変わり、建築も変われば、人生も変わる。きっと、宮澤賢治の言う「全体幸福」の道へと。とても、いいことではないでしょうか。
2009.06.11
無為自然
最近のお気に入りCDです。ヨッフム指揮/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団によるブルックナー:「交響曲第7番ホ長調」と「交響曲第9番ニ短調」の2枚。ブルックナーの音楽は、あまり一般的には馴染みが薄いと思われるので、なかなか説明しにくいのですが、一言で言うと「無為自然」という感じです。人間が一生懸命に考えて作曲した音楽というよりも、天からそのまま降ろされたような音楽。だから、良い曲とか悪い曲という見方よりも、受け入れられるかどうかという選択肢の方が相応しい。実際に初めて聴いてみて、すぐに受け入れられる人は極めて少ないと思います(私もそうでした)。でも、ある日突然ド~ンと入ってくる。そんな音楽です。
「無為自然」、つまり「あるがままに生きる」ということは本当に難しいことですよね。人間だから、あ~しよう、こ~しようということの繰り返しや葛藤の中で、日々を生きています。それによって、成長することもできます。でも、時には全てをゆだねて、今の流れに身を任せて、その結果が一体どうなるかを見てみたい気もします。案外そういう風にした方が、想定外の幸運と出会えるような気もします。そんな風に考えていくと、ブルックナーの音楽と感謝の心とは、意外と近い存在なのかもしれません。つまり、現実を素直に「受け入れる」という謙虚な姿勢において・・・。
さて最近、いま話題になっている村上春樹氏の最新刊「1Q84」の上下巻を買いました。まだ上巻の冒頭しか読んでいませんが、これから面白くなりそうな予感がします。こういう小説家とか、作曲家とか、アーティストと言われる人たちの頭の中は一体どうなっているのだろうと思います。本当に100%その人の頭の中だけで考えられているのだろうか・・・。否、そうではなく、きっとその中の一部は、天から降りてきたに違いない。とても人間業とは思えないから。もちろん、私のような普通人にも、たまに「あっ」と思うようなアイデアが頭に浮かぶことがあります(大半がボツ)。でも、才能のある人のレベルではありません。もっと天とつながりたいなぁと、こういう本を読みながら、ふと思います。
昨日、世界の子どもにワクチンを提供しているNPO主催のチャリティー・ランチに参加させていただきました。今回の新型インフルエンザの問題を見ても、ワクチンの重要性は今後さらに増してくると思います。日本はそういう意味では、確かにいろいろな問題がありますが、地球上で一番安全な国だと思います。もちろん北朝鮮との緊張等はありますが、他の国に比べたら、毎日の生活が脅かされるレベルでは無く、本当に幸福です。その日本が、地球をより良くするために立ち上がる日が来ると思います。確かに政治は混迷の極みですが、今は昔と違って、国や地域は政治だけで動いているわけではありません。これからはもっと精妙な、一人ひとりの意識の集合体によって動いていくと思います。だから、今の状況に一番感謝すべきは私たち日本人。現状を素直に受け入れて、これからの世界のために、一肌脱ごうと。ブルックナーを聴くと、そんな豊かな気持ちになれるのです。
2009.06.05
いよいよ
久しぶりに、日本一の高額納税者である斉藤一人さんの最新刊「この不況で損する人、この不況で得する人」を読んでみましたが、付録で付いていたCD(本と同じ内容)で聴いた方が意外と面白く、今の時代の非常に大きな捉え方を実感として理解することができました。その中身について細かく書くわけにはいきませんが、私流に言うと、やはり「感謝」なんですね。不況を終わらせるのも、不況と無関係に生きるのも、答えは「感謝」しかないと。斉藤一人さんのような日本一の商売人の方が言うから、本当に説得力を感じます。
そう考えると、丸二の企業理念である「ありがとうございます」の必然性も、だんだんと理解されやすくなってくるような気がします。個別の物事とか身近な人への感謝はもちろん大事ですが、それを遥かに超えた、全てのものに対する感謝こそが斉藤一人さんの言わんとしていることではないかと思います。そのような意識を持つことができるようになれば、きっと世の中はさらにハッピーになっていくでしょう。つまり丸二とは「建築」という貴い仕事から得られた様々な経験を通じて、人間としての成長を実現していく場なんだと、あらためて判ります。
そのような捉え方で今を楽しく生きていけば、不況が終わった後の新しい時代において、必ずや人々から喜ばれる会社や個人になっているはずですし、それが今からとても楽しみです。GMの破綻や新型インフルエンザ等、世の中では毎日のように大変なことが起きていますが、そういう物事とは別のゾーンの中で生きていく。そのためにも「感謝」は大切なキーワードだと思います。だから「感謝」とは、(表現は変ですが)昔のTVの「ウルトラマン」で出てきたような一種の「バリアー」みたいなもの。必ず自分自身を守ってくれるものだから。
さて、5月の自動車販売台数でトヨタのハイブリッドカー「プリウス」がトップになりました。ホンダの「インサイト」もよく売れている。いよいよだと思います。時代は着実に変化し始めました。ついこの間まで、「そんなのは・・・」とか、「まだ先じゃないか・・・」とか言われていたものが主役にとって代わる時が近づいてきています。これらは、まだ序の口。これから本格的に、「本物」志向や「心」志向が始まったら、一気に物事は引っくり返る。そんな気配が感じられます。さてそうなった時に、毎日楽しく豊かでいられるようになりたいなぁ。だから丸二は、「ありがとうございます」で、日々1mmの前進なのです。