社長ブログ

バッハ、ゴッホ、君の名は。

国際オリンピック委員会(IOC)会長のバッハ氏が来日し、小池都知事と会談を行いました。東京オリンピック開催に関わるコスト削減に積極的に協力して行くとの事です。オリンピック開催に関わるコスト削減は(東京大会のみならず)今後の大きな課題です。今回の2020年東京大会を機に開催国(開催地)の負担軽減への新たな道筋が生まれれば、これも1つの成果と成るでしょう。財政が豊かとされる東京都でさえも、オリンピック経費の負担が重い時代です。バッハ会長と小池都知事、そして日本政府が今後の新しいオリンピック概念を打ち出してくれることに期待します。
同時に、東京オリンピックや豊洲問題に関する闇(ブラックボックス)の部分の解明についても、決して手を緩めず、全てを明るみに照らし出して欲しいと思います。そう成れば、この潮流は東京から日本全体へ、そして世界へと広がって行くに違いありません。今、東京で起きている事が世界の雛形と成り、社会の浄化作業が始まるかも知れません。恥ずかしながら、先ずは東京から膿(生み)出しです。
ところでバッハ会長の名前ですが、(残念ながら)あの音楽の父ヨハン・セバスチャン・.バッハの血筋とは違う様です。バッハとは「小川」を語源とする、ドイツにはよくある苗字とのこと。東京都知事が「小池」ですので、小さい川と小さい池で、もしかしたら相性が良いのかも知れませんね。音楽家のバッハに対する私の(勝手な)イメージは、「超人的な知性」と「温かい人間性」と云うものです。実際はどうなのかは(もちろん)分かりませんが、バッハの音楽からはそのような印象を受けます。
「知性」という面では、まるで幾何学的と言うか、数学的と言うか、音楽が自然界に存在する数字の(冷徹な)組み立てで完璧に設計されているように感じるのです。それにも関わらず、響く音楽はとても温かくて、優しくて、おおらかで、ユーモアもあり、深く崇高です。「音楽とは数学だ」と誰かの評論で読んだ記憶がありますが、バッハの音楽を聴くとなんとなく分かります。
画家で言うと、ゴッホの絵も好きです。あのカラフルな色彩が細かくグニャグニャと揺らいで渦巻く描写は、一体どういうことなのでしょうか・・・。素人では全く理解できないのですが、そこには知性というよりも感覚(霊感)的な写実を感じます。バッハもゴッホも、自分自身のアンテナ(受信機)から得た「自然界や宇宙の実像(正体)」をそのまま写実したに過ぎないのかも知れません。もしそうであるならば、この世の中とは、バッハのような数学的な音が鳴り響く、ゴッホのような色彩が渦巻く、振動の世界なのかも知れません。
バッハの音楽もゴッホも絵も、まるで自らがキラキラと光を発している生き物のようです。このことを「自灯明」と言うのでしょうか・・・。IOCのバッハ氏の名前から話が脱線してしまいましたが、あらゆる問題や課題に対して、常に自らが灯を燈し(光となり)、まわりを明るくして行ける存在になって行きたいと思いました。宮沢賢治の言う「(わたくしという現象は)因果交流電燈のひとつの青い照明です」も、そのような意味なのかも知れません。政治家も経営者も、そのひとつの青い照明として、まわりをもっと明るくして行かねばなりません。その光の渦が大きく成れば、闇に光が当たって行くでしょう。
※映画「君の名は。」
85fda0a0710fdf1e.jpg
話題の映画「君の名は。」を妻と観に行きました。とても良質で感動的な映画でした。美しいアニメであること、東京の街の描写が素晴らしいこと、音楽が若者に人気のグループであること等がヒットの理由と言われていますが、それと共に、①魂の移動②時空の移動③宇宙的視座という3つの要因もあるのではないかと感じました。
①の「魂の移動」とは、主人公の男の子と女の子の心が入れ替わるという設定のことです。肉体と精神は別々のもので、魂は肉体を離れて飛んで行くことが出来る。そういう概念が見えます。②の「時空の移動」とは、お互いに時間と空間を移動することです。この①と②は、既に大林宜彦監督の「転校生」や「時をかける少女」をはじめ、広く様々な作品の主題になっています。③の「宇宙的視座」は、彗星という宇宙からの飛来物が大きな役割を果たしていることですが、これは自然、宇宙、もっと言えば神(天)の象徴のようです。物語の中には、神社、巫女、口噛み酒(はじめて知りました)、この世とあの世の境界、そして糸が出てきましたが、これらは日本の神事をイメージさせます。糸は、縦糸と横糸とが交じり合って宇宙を創造すると言われています。
総評としては、若者向けの軽快なアニメで、作品としての評価は(自分的には)まずまずでしたが、それ以上に、この映画には若者たちの(無意識の)深層心理に訴える「何か大切なもの」が内在しているように感じました。それは(要するに)目には見えない世界の存在感(リアリティー)です。つまり、この世の中の実像(正体)が違和感なく表現されているように感じたのです。魂、宇宙、そして生きることの素晴らしさ。そういうことを真剣に考えられる時代になって来たのでしょう。それはとても素晴らしいことです。同じく東宝の「シン・ゴジラ」は、これから日本を襲うであろう危機への警鐘を果たし、この「君の名は。」の方は、若者の意識の目覚めを喚起しつつあります。映画って本当に凄いです。