2011.06.12
素直、情熱、感謝
今回の大震災直後、この日本の巨大地震によって、地球の自転速度がわずかに増した可能性があると、米航空宇宙局(NASA)が発表していました。地震によってプレート(岩盤)が動き、地球内部の質量分布が変わったことで自転速度が増し、1日の長さが100万分の1.6秒短くなったということです。他に、地軸が十数センチ傾いたという報告もありました。また最近、作家の村上春樹氏がスペインでスピーチした際も、この自転速度の変化に言及しつつ、原発(核)の反対を唱えていました。ドイツはすでに「脱原発」を決めています。
今回の東日本大震災によって、日本列島のみならず地球規模の巨大な地殻変動が起こり、天体の運行に影響を与えたことは事実のようです。1日の時間が短くなるというような、全く信じがたい出来事が今まさに起きている。このことを私たちは良く理解し、これからの大変革に備えなければなりません。
3.11以前の常識やルールはもう通用せず、全く新しい仕組みによって世の中が動き始めたと思って良いのでしょう。おそらく10年以上前から、そのような変換は始まっていたのかもしれません。ただ私たちは、なかなか気づくことが出来なかった・・・。でも、今からでも良く物事を見聞きし、最善を尽くすことしかありません。
先週の金曜日には、今年で2年目となりました「農商工連携人材育成事業」が開講し、十数人の受講者の皆様が集まりました。このような志、意志のある方々がどんどん増えてきているということに、新しい時代への息吹を感じます。まだまだ道のりは遠いですが、自然を守るために、林業を復活させるために、神宮ヒノキの家を広めるために、様々な取り組みを進めて行きたいと思います。来週からは、加子母の山で体験学習等が始まります。
さて、このような大変革の中で、一番大切なことは「気持ちの持ち様」ではないかと思います。今を「大変」と捉えるか、「チャンス」と捉えるかで、全く生き方も、精神状態も変わって来ると感じます。当然私たちは、今を「超ウルトラ大チャンス」と見ていますので、現実を直視しつつも、ワクワクした感覚の中にあります。建築の世界も、きっと様変わりするはずです。面白いことが起きる予感がします。
個人としては、「素直」「情熱」「感謝」を大切にして行こうと意識しています。起きていることを否定的に考えず、何事も肯定的に捉え、素直に受け入れ、素直に動いて行こう。夢をもって、情熱をもって、自らを信じて行こう。今、生かしていただいていることに、心から感謝しよう。以上の3つのことを忘れなければ、新しい世の中の仕組みに、きちんと入ることができると思います。大変革とは一度全てがバラバラになることですから、(今まで苦労してきた)あらゆる人々にも同様のチャンスが巡って来ると思います。ここを逃さず、一気に良い流れに乗る為にも、「素直」「情熱」「感謝」で行こうと思います。
情熱と言えば、5月下旬に、日本人の指揮者の佐渡裕さんがベルリン・フィルを指揮したというのがニュースになり、その特集番組(TBS)を見ることが出来ました。日本人の指揮者でベルリン・フィルを振ることができたのは小澤征爾氏と佐渡氏だけだと思います。何しろ、天下のベルリン・フィルですから、指揮台に立つこと自体が奇跡的なことで、なお且つ世界トップレベルのオーケストラ楽団員から評価されたとなれば、最高の賛辞ということです。佐渡さんは子どもの頃の作文で「ベルリン・フィルを指揮する」と書いていたそうです。イチロー選手や松坂選手と同様に、ついに夢が実現したのです。その情熱と諦めない精神から、勇気をいただきました。
ベルリン・フィルを指揮するということは、今ももちろん大変なことですが、かつてのカラヤン時代のベルリン・フィルの時は、もっと違う意味で大変だったようです。ベルリン・フィル首席指揮者だったカラヤンは、自分以上の指揮者を指揮台に立たせることを異常に嫌ったようです。同時代のもう一人の超有名な指揮者バーンスタインが、ベルリン・フィルと共演できたのは、実はたったの1度だけ。その時に演奏した「マーラー:交響曲第9番」は、今でも語り草となるような超名演となりましたが、それを聞いたカラヤンは、二度とバーンスタインをベルリン・フィルの指揮台に立たせませんでした。まあ、何と言うか、心が狭いと言うか、器が小さいと言うか・・・。でも、それほどまでにして、守るべきは「ベルリン・フィルの指揮者」という勲章・名誉だったのではないかと思います。
その指揮台に今、再び日本人(佐渡さんは、実はバーンスタインの弟子です)が立つことが出来ました。このような現象は、きっと今後ますます世界へ波及して行くと思います。「東日本大震災」と言う大きな災害を最初に引き受けた日本が、良き見本を示し、世界へ日本の力を伝播していくために。そのような大きな流れを掴むことで、私たちの乗っている船は、(今の)荒波を超えながらも、必ず穏やかな大海原へ出て行くと思います。それを素直に信じる力こそが、最大の財産だと思います。