2011.04.29
美しい魂
元キャンディーズの田中好子さんが亡くなられたニュースを見ながら、心に強く感じるものがありました。それは、葬儀の際に流れた本人の肉声テープの中で、「私も一生懸命病気と闘ってきましたが、もしかすると負けてしまうかもしれません。でも、そのときは必ず天国で被災された方のお役に立ちたいと思います」という言葉を聞いたからです。自らが死と直面している状況にも関わらず、この震災で亡くなられた多くの人々のことを、深く心配されていたのだと思い、何とも言えない気持ちになりました。
後日、雑誌の記事等で、田中好子さんは、(決して目立たなかったですが)ご主人と共に様々な社会貢献活動をされていたことを知りました。キャンディーズを解散して、2年程で芸能界に復帰したのは、弟さんの病気が大きな理由だったそうです(結局、弟さんは亡くなってしまいました)。その後、女優の夏目雅子さんと親友になりましたが、彼女も白血病で亡くなり・・・。本当にいろいろなことがあったのだと思います。結局、夏目雅子さんのお兄さんと結婚し、今度は自分自身の(この世での)命が消えていきました。
随分、長い闘病生活だったようです。でも、そのことはあまり知られていなかったようです。そのような病状にありながら、多くのボランティア活動、社会貢献運動を行い、世のため、人のために尽くしてきた人。その人が最後に残した言葉が、「天国で被災者のお役に立ちたい・・・」。天国を信じ、天国にいる多くの被災者の方々のお手伝いをするために、自ら旅立たれたのです。
今、被災地は復興に向けて、(少しずつですが)前に向かって動き始めていると思います。そこは目に見える世界ですので、多くの人たちが力を合わせて、具体的な活動を行うことができる場所です。でも、(残念ながら)亡くなってしまった方々が行かれた場所は、私たちの目には見えません・・・。だからこそ、田中好子さんのような美しい魂の方々が、そこへ向かっているのかもしれません。それが自分自身の使命、人生の目的であるかのように。本当に心の優しい方というのは、あまり目立たない存在のような気がします。いつも、見えなくなってから気づくものです。