2009.02.25
耐震偽装、愛知県に賠償命令
耐震偽装事件で被害を受けた「センターワンホテル半田(愛知県)」が、建築確認を行った愛知県とコンサルタント会社「総合経営研究所」を相手取って、損害賠償を求めた訴訟の判決が出され、愛知県と総研側の過失責任が認められました。この問題が発覚した当時、「イーホームズ」等の民間の確認検査機関に対する厳しい責任追及がなされ、結局「イーホームズ」は廃業となりましたが、同様の確認検査を行った自治体に対しては、何故か全くその矛先は向かいませんでした。
しかしながら、今回の判決により、偽装を見抜けなかった自治体の責任も問われ、やっと物事の整合性が付いてきたと思います。確認検査機関の使命は、合法的な建築かどうかを検査・確認することですから、それが為されなかったとしたら、欠陥品を販売している業者と同じことです。まして、自治体がそうであったならば、その影響と責任はむしろ民間企業よりも大きいはず。今回の判決は、当然のことと思います。
昨日、ブログに書いた村上春樹氏の「壁と卵」という比喩に例えれば、「卵の力によって、壁が壊れ始めた」と言えるのではないでしょうか。社会の公正や安全が、確かに厳しい現実を経ながらも、このように実現してくるのであれば、時代は良い方向へ流れ始めたと思います。今、いろいろな不安や不満が多い世の中ですが、過去の戦時中や抑圧・統制された社会に生きていた世界の人々に比べれば、遥かに豊かな毎日を送っています。そのことに大いなる感謝をして、一人ひとりが、今の現状をより良い方向へ変えていく努力をしていけば、必ず私たちは、「調和」に行き着くと思います。
私が好きなクラシック音楽も、基本的には「混沌」から「調和」へというストーリー展開になっています。起承転結があって、最後は調和の取れた高らかな和音で終わる。ほとんどの曲が、そのような構成になっています。きっと時代の流れも、その繰り返しなのでしょう。今は、そういう意味では「転」の時期なのかもしれません。だから曲調も激しいし、不安と混乱が続きます。でも、いつかきっとその楽章は終わり、終楽章での大団円を迎えます。これは自然界の法則です。今の時代に生きている人々は、その感動のフィナーレを見られるのかもしれません。今回の判決は、そのような「転」の中での、小さなシグナルと聴こえました。