2008.04.22
温かさ
最近、いろいろと大きな問題が起きています。一つ目は、「後期高齢者(長寿)医療制度」の混乱。この豊かで平和な日本を築いた75歳以上の方々に対して、年金から保険料を天引きするという制度。一体どれくらいの人が、今よりも保険料が安くなるのか、高くなるのかも分からずに導入。保険証の発送事務のあれこれを見ても、何か心がこもっていないように感じます(保険証も、とても簡素なもののようで・・・)。改革とは一体何だったのでしょう・・・。
二つ目が、英国系投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)が「Jパワー(電源開発)」株の買い増しを申請している問題。甘利明経済産業相は、外為法に基づき、TCIに買い増し計画の変更・中止を勧告しました。その理由は、「国益を守るため」で、それは正しいと思います、何しろ、Jパワーは原子力関連事業を行っているわけで、もし外国資本に主導権を握られると、電力の安定供給や原発政策に大きな影響を与えます。でも本質的な問題は、なぜそのような危険性のある法人を民営化したのかということです。改革とは一体何だったのでしょう・・・。
三つ目に、ガソリン税の再可決問題。ガソリン税の暫定税率が期限切れになって、やっと落ち着いたガソリン価格ですが、今度は衆議院の「3分の2条項」を使って、再度復活を図る方針とのこと。税制全体のビジョンが無いままに、なぜガソリン税だけを再び上げなくてはいけないのか。「増税しないと国が持たない」という説明だけで、全てが納まるとは思えません。「増税しないで、何とかしなくては!」という智慧と勇気と情熱こそを、国民は政治に期待しているのに・・・。改革とは一体何だったのでしょう・・・。
四つ目は、名古屋高裁が17日、自衛隊のイラク派遣が憲法違反に当たるとの判断を下したことです。航空自衛隊が、クウェートからイラクのバグダッド空港に多国籍軍の兵士を輸送していますが、これを「他国による武力行使と一体化した行動で、憲法9条1項に違反する」と認めたのです。この判断は、当時の(有名な言葉)「自衛隊がいる所が非戦闘地域だ」という認識に誤りがあったことを示しています。改革とは一体何だったのでしょうか・・・。
「郵政民営化をすれば、バラ色の未来が来る」と思って熱狂した国民は、今の現状を一体どのように理解したらいいのでしょう・・・。「改革の本丸」と言われれば、すべてが良くなると思って当然ですよね。「弱者、高齢者、地方の生活を守る」のが政治の最大の仕事であるとすれば、随分と違う方向に来てしまったようです。うまく言えないのですが、何かもっと「温かい国」になれたらいいなと思います。国民一人ひとりが、こんなに温かい人間性を持っているのだから。決して不可能ではないですよね。辛抱するところは辛抱しますし。やはり、ビジョンが大事だと思います。
※温かい音楽~「ライン」
シューマン
交響曲 第1番 変ロ長調 Op.38 「春」
交響曲 第3番 変ホ長調 Op97 「ライン」
序曲「マンフレッド」 Op.115
セル指揮:クリーヴランド管弦楽団
シューマンの交響曲は全部で4曲ありますが、3番の「ライン」は、とても心が温かくなる音楽です。シューマンは、ちょっと精神を病んでいた面があったので、うつ状態の曲もたくさんありますが、この「ライン」は明るくてなかなかいい。演奏としては、今まで聴いた中でセルのが一番好きです。温かさと共に、きっちり感と前向きさがあって、心が元気になります。社会全体のことに意識を持って、積極的に関わっていく中においても、決して明るさと温かさは忘れずにいよう。自分自身の心の穏やかさや幸福感を失っては、何のための人生だか分からないから・・・。人生を苦しんだシューマンが創った明るい曲だけに、そのような思いが心に染みこみます。