2008.04.24
「大したことない」のか
最近の様々な不祥事やトラブルに対する説明や謝罪の時に、「誤解を与えたことに関しては、心からお詫びいたします」という言葉をよく聞きます。でも、この言葉の裏側には、①中身は何ひとつ間違っていない②ただ説明の仕方が良くなかっただけ③理解しない方が悪い・・・という本音がチラリと見えてしまいます。絶対に誤解を与えてはいけないような重要なことを、いとも軽々と考え、何か言われたら、その時は重い腰を上げて、「誤解を与えたことに関しては、心からお詫びいたします」と言えば済む・・・。ああ、「恥ずかしい」という日本人の美意識は、どこかに行ってしまったのでしょうか。あらゆる事柄が、「大したことない」という一言で、片付けられているような気がします。
今朝の新聞に、『本の万引き:被害年間40億円(大手14社)』とありました。内容をよく読むと、金額ベースで、コミック本が4割と最も多く、写真集は3割、単行本は1割。万引きの理由は、(なんと!)7割以上が「最終的に換金目的」。昔は、マンガを買うお小遣いが無くて、つい・・・なんてことがあったのかもしれません。でも今は、「換金目的」・・・要するに強盗と同じことです。また、親も親で、「捕まえられてかわいそう。なんで取りやすい場所に置くんだ」とか、「払えばいいんだろう」と開き直ったりとか、「つかまってアンラッキーだったね」などと慰めたりしているとのこと。万引きも、「大したことない」のか・・・。
豊かな時代になって、街を歩けば、子どもたちが欲しがるようなもので満ち溢れるようになりました。コミック、ゲーム、ケータイ、グルメ、ファッション、コンビニ、アイドル、ギャグ・・・子どもという巨大な市場に向けて、大人たち(企業)はさまざまな商品を開発し、流行をつくり、売れなくなったらパッと捨てる。かつては、その中にも「夢」があった。「希望」があった。「思想」があった。でも今は・・・あるのかなあ。子どもたちの心の成長や子どもたちの将来も、儲けに比べれば、「大したことない」のか・・・。
「大したことない」の反対の言葉は何でしょう。私は、「ありがとうございます」だと思います。人や社会や地球に対して「ありがとうございます」と思える心があれば、共に協力し合う精神が、自然に芽生えると思います。「大したことない」と切り捨てないで、共に素晴らしい社会をつくり、共に素晴らしい教育を行い、共に素晴らしい技術を開発する。そのような「一体化」が生まれればいいなあと思います。
※世界の一体化
U2
Unforgettable Fire:(焔)
大学時代に好きになったアイルランドのロックバンド、「U2」のアルバム。尊敬する映画研究会の先輩がいつも聞いていたので、LPを借りて、カセットテープにダビングさせてもらいました。この「焔」というアルバムは、ブライアン・イーノとダニエル・ラノアのプロデュースなので、アンビエント(環境音楽)系の浮遊感と透明感があり、ロックと言うよりも、ヒーリング的な味わいになっています。だから、非常に気に入ったのでしょう。ただそれ以降は、あまり「U2」を聞くことが無くなっていました。ところがここ数年、「U2」のヴォーカルのボノ氏が、貧困絶滅運動や地球環境問題などで様々な運動展開をしているのを知り、また久しぶりに思い出したわけです。ボノ氏はダボス会議にも参加して、アル・ゴア(Al Gore)前米副大統領とも対談を行い、今や世界的に運動の輪を広げています。多分、「世界の一体化」を得ようと、努力しているのだろうと思います。最近の「U2」の音楽は分かりませんが、この「焔」は精神性の高い音楽だと思います。