2008.03.04
道
東芝がHD-DVDから撤退、三菱電機が携帯電話から撤退、パイオニアがプラズマパネルから撤退・・・「撤退」のニュースが多い、今日この頃です。東芝は、撤退の発表後に株価が上昇しました。市場は、このような「勇気ある決断」を評価するものです。いろいろな意味で、「見直し」の時代に入ってきたのでしょう。何かを始めるには、何かを止めなければならない。ビジネスの世界でも、人生の世界でも、決断を迫られる大きな曲がり角に来た感があります。
マネーゲームで増えたかに見えた世界的な富も、サブプライムローンという、結局誰も責任を取らない(追求すらしない)詐欺的商法によって、ついに喪失。いったい今までの享楽は何だったのでしょう。いよいよ、どのようにして真っ当に富を得るかという基本線に立ち還る時代に入って来ました。
マヤ暦が記した文明最後の日(と言われている)2012年12月22日まで、あと5年。地球環境や格差問題、終わらない戦争・・・。この日で本当に文明が終わるはずはありませんが、何かしらの大きな価値観の転換が起こるような気がしてなりません。それまでに私たちがしておくこと。自らの人生、生き方、経営を見直し、基本線に立ち還り、最善を尽くすこと。1mmの前進。これしかありません。
そのためにも、人が行かない道を行く。遠回りをしてでも、(細いけど)本線と思える道を行く。目先の欲よりも、遠い先の大欲を目指す。いずれ大きな価値観の転換が、時代を本線に戻してくれる。その時、人が行かない道に花が咲く。
感謝とは何か。それは、生かされていることへの気づき。自分で生きているわけではなく、自然の力で生かされている。会社も同じ。そのような認識を持って経営活動をしていかないと、自然や社会から、いつかは見放される。だから、自然や社会と総和(調和)する経営をしておこうと。ただ、それは、人が行かない寂しい道を、懐中電灯を頼りに歩くことに等しい。目先の利益とは、正反対の道だから・・・。つい怖くて、みんなが歩く道に戻りたくなる・・・。でも、こちらが本線だ。細くても本線だ。生かされている者として、歩くべき道だ。
時代の変わり目に突入すると、人は我を失います。その時、確かな自分自身を保持するために、最も大切なお守りこそが「感謝」だと、私は思うのです。丸二の企業理念である「ありがとうございます」は、この人心改革の時代の中で、大きな飛躍・発展を遂げるための、守り神だと考えています。
※最近、読み直している本
火車 (新潮文庫)
宮部 みゆき (著)
かなり前に読んだ「火車」。最近、また読み直しています。宮部みゆきのミステリーの中で、傑作中の傑作中でしょう。難しい本を読んでいる合間に、このようなミステリー系も、なかなかいいものです。道をはずれた一人の若い女性の真実と寂寥感に、ゆっくりとフォーカスして行く物語。人は、どのような道を選ぼうとも、前に向かって進まなければならない。だから、自分自身の道は自分自身で選ぶこと。ただ、できるだけ、楽しい道がいいなあ。