2007.11.26
環境が心をつくる
先週の金曜日に、日本建築医学協会「設立一周年記念講演会」が、ベルサール神田にて開催されました。丸二も、設立時からの会員として参画させていただき、当日はブース出展も含めて、充実した一日を過ごすことができました。
医学博士のアンドリュー・ワイル氏を名誉顧問とする本協会の役割は、統合医療を進化させていく上で、ますます重要な位置に来たのではないかと思います。「環境が心をつくり、心が健康をつくる」という建築医学の考え方は、むしろ、地球環境の問題から浸透していくのではないでしょうか。
例えば、オーストラリアで24日に投開票された総選挙では、京都議定書の批准を公約に掲げている労働党が圧勝し、約11年ぶりの政権交代を実現したました。環境というキーワードと個人の経済、健康、幸福というキーワードが、人々の中で、確かに結びつき始めたのでしょう。このように、環境問題が政治をも変えてしまう時代が始まったわけです。これは大きな変化です。
住まいや職場の環境が整うことで、人間の脳と心は明らかに変化します。結果的に、それは個人の健康や精神に少なからず影響を与えます。今回の講演会の中でも出ていましたが、自殺者が出る家の特徴とは、①暗い②楽しくない③会話が無い・・・という3点だと言うことです。この3つの点は、実は建築的に改善が可能なものです。建築を通じて環境を整えることで、自殺者や病気を少しでも未然に防ぐことができるのであれば、私たちは取り組まないわけにはいきません。そのような予防医学として、建築医学は生まれました。
環境という視点は、いずれ「地球」から「街並」を経て「家庭」にフォーカスされてきます。逆に言うと、「家庭」の環境が整えば、「街並」も「地球」の環境も整うはず。まず身近な生活の中で、環境を整えていく努力を、それぞれができる範囲で始めてみてはどうでしょうか。きっと、世界は生まれ変わると思います。
人は、常に地球の上にいます。そして、ほとんどの時間を建物、家庭の中で暮らしているのだから。